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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章    


 妹の心を、少しでも己に繋ぎ止めたい。


 ただそれだけの為に、こうしてギリギリまで耐えている、哀れな男。

 今ここで、自分が「やっぱりお兄ちゃんに抱いて欲しい」と強請ったら、

 目の前の匠海は、一体どんな表情を見せてくれるのだろう――?
 
 そう想像するだけで、全身が身震いするほど、ぞくぞくして。

(私……真正の変態、かも……)

 内心自分に嘆息しながら、ゆっくりと腰を落とし、

 今度こそ最奥近くまで、兄を迎え入れる。
 
 満足気な吐息を聞きながら、片手を兄の脚の付け根に、片手を兄の腰に付き、

 くるりと背後を振り返ったヴィヴィは、

「ね……、これは?」

 そう囁きながら、あと少しだけ受け入れていなかったそこへと、

 散々 焦らしに耐えたご褒美とばかりに、侵入を赦してあげる。

「~~~っ」

「お兄ちゃん、弱いもんね? 先っぽ……」

 大きめの唇の奥、兄が歯を食い縛って堪えているのが、目に見えて判って。

 振り返っていた躰を元に戻したヴィヴィは、

 後ろ手を突きながら、昂ぶりを半分くらい抜き取る。

 そしてまた、上下に跳ね、自分も兄も悦ばせると、
 
 たまに最奥にトンと、弱い亀頭の先を当ててあげる。

「はっ ぁ……っ くぅ」

 背後から漏れ聞こえる、苦しそうな匠海の喘ぎ。

 もう我慢ならないのか。

 投げ出していた両膝を立て、踵で軽くシーツを蹴るさまに、妙に情欲をそそられ。

 自分の意志とは無関係に、勝手に細腰が動き始めた。

「ぁんっ あ……っ すごっ 奥ぅ……っ あっ やぁあんっ」

 子宮口を兄のもので突く度に、身も心も震え上がる。

 そこはやはり、特別な場所。

 膣よりも深い愉悦を生み出してくれるのも魅力的だが。

 それ以上に、

 愛している男に、こんな深くまで自分を赦してしまっている――そんな精神的な興奮も手伝って。
 
 匠海を翻弄している筈のヴィヴィさえも、この行為に ずぶずぶと溺れていく。

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