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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章
自分の昂ぶりに、さっと視線を落とした匠海は、事実を確認してくる。
「ああ、ゴムがヴィクトリアの中に、入ったままなんだね?」
「……こわ、いぃ……っ」
くしゃりと小さな顔を歪めたヴィヴィは、もう訳が分からなくて。
「大丈夫。取ってあげるから。横になってごらん」
そんな兄の言葉にも、ただ ふるふると金色の頭を振るばかり。
「……怖い。痛い、の、やぁ~~っ」
その時のヴィヴィの頭の中にあったのは、
『鞭』の時に中出しされ、自分で胎内の精液を掻き出し続けた、辛い記憶。
(また、あれ、するの……? もう、やだよぉ……っ)
大きな瞳に滲み始めた、怯えの色と涙液。
完全に脅え切った妹の肩を、兄は驚かさないようにゆっくりと抱き寄せて宥めてくる。
「大丈夫。痛くないから、ほら、ゆっくり深呼吸して……。力抜いて……」
匠海の股の間に抱き寄せられ、
ヴィヴィはその肩口に、目の前の事から目を逸らす様に目頭を押し付ける。
そんな妹を、兄は大きな掌で撫で擦りながら、もう一方の手は震える細腰へと伸ばされていた。
長い指が異物を求めて蠢くさまが、ありありと伝わってきて。
両手でぎゅうとバスローブの胸に縋りながら、ただひたすら「早く終わって」と心の中で願っていた。
やがて、その感触も無くなって。
「ほら、取れたよ。大丈夫、中身も零れて無い。よく我慢したね、偉かったぞ?」
終了を告げた兄の声を聞いた途端、ヴィヴィは両腕を伸ばし、逞しい首へと縋り付いていた。
「~~~っ おにぃ、ちゃ……っ」
「ああ、ヴィクトリア。もう、大丈夫だよ」
背中に回された腕の先、大きな掌で肩を包まれると安心して。
腰を絡め捕られ、かつ、しっかりと逞しい躰に密着させられると、途轍もなく暖かくて。
先刻の「自分が主導権を握らないと」という誓いも、忘却の彼方。
ヴィヴィはただただ、匠海の抱擁に酔いしれ、そして、
「甘えん坊のヴィクトリア、可愛いなぁ」
そんなからかいの声にさえ、底なしの安堵を覚えていた。