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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章    

 数分そうしていると、やっとヴィヴィの心も躰も落ち着きを取り戻し。

 ほうっと大きく息を吐き、腕の中で弛緩した妹に、兄は釘を刺す事を忘れなかった。

「いいかい、ヴィクトリア? イった後は、ゴムはすぐに取らなきゃいけないんだ。ペニスを抜く時も、ちゃんとゴムの根元を押さえながら、ゆっくりと抜き取るんだぞ?」

「……すぐ、に……?」

 兄の肩から顔を起こしたヴィヴィは、自分を覗き込んでくる匠海の顔をちらりと見上げる。

 コンドームの先には液溜まりがあるから、一度吐精しても、しばらくは大丈夫たと思っていたのに。

「そうだよ。そうしないと中の精液が漏れたり、今回みたいに行為中に外れたりしてしまうんだ」

「………………」

 そう言われてみれば、匠海はいつもゴムを使う時は、達したらすぐに抜いていて。

 ヴィヴィはそれも嫌だったから、恋人関係だった頃は、極力ピルでの避妊を望んでいた。

「解ったね?」

 黙り込んでしまった妹に、兄はそう確認してきて。

「ん……。ごめん、なさい……」

 素直に自分の非と無知さ加減を謝罪したヴィヴィに、匠海は頷き微笑み掛けてくる。

「今度から気を付ければいいんだ。だって、ヴィクトリアはそんな事、知らなかったもんな?」

 こくりと首肯した妹を、兄は「良い子だね」と甘やかし。

 それに恥ずかしそうに顔を背けたヴィヴィに、匠海は愉しそうにくすくすと笑っていた。

 弱い後頭部を、大きな掌で撫でられるのが心地良くて。

 兄だけの香りに包まれながら、逞しい腕に抱き込まれれば、ささくれ立っていた心が しっとりと潤い始め。

 しかし、それから数分後。

 ヴィヴィは はっと我に返った。

(……何を、しているのだ、自分は……)

「……も、大丈夫、だから……」

 薄い唇から零れた声は、若干 堅くて。

「ああ……」

「離して」

 兄の首に巻き付けていた両腕を解いたヴィヴィは、匠海の肩に両手を添え、そのまま腕を突っ張った。

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