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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章
「……ふうん……」
「だから、中には挿れちゃ駄目だけど、俺の上で気持ち良くなって?」
成程、性行為を嫌がっている訳では無いらしい。
(嫌がっても、辞めてあげる道理も無いけど……)
じいと眺めていた兄の顔から、視線を落とした妹。
更に温くなった湯の中、散らばっていた薔薇を掻き集め。
両腕の囲いの中に立ち昇る、夜来香の芳しい香りを胸一杯に取り入れると、
「……タオル……」
短く命じて匠海にバスタオルを取らせ、胸から下に巻き付けてバスタブから出た。
浴室から出るところ、床に放置されていた物に気付き。
タオルの裾に気を付けながらしゃがみ、拾い上げる。
首から先を全て切り落とされ、茎と葉だけの無残な姿になった花束。
(酷いことして、ごめんね……)
緑一色のそれをぎゅっと胸に抱きながら、自分の寝室へと歩を進めた。
やや遅れて寝室へ入ってきた匠海は、後ろ手に鍵を掛け。
妹に促されるまま、うず高く積み上げた白い羽枕とベッドヘッドへと凭れ掛かった。
きしりと軽い音を立て、高いスプリングに昇ったヴィヴィ。
もうはち切れんばかりの兄の黒パンツの前を解いてやれば、
綺麗に包み隠していた筈の、猛々しい雄の顔を覗かせてくる。
「私に触れたら、辞める」
兄の黒パンツと下着を膝辺りまで下げながら、ここ3日で口癖となった命令を下せば、
「解ってるよ」
苦笑しながら頷く匠海。
白のバスタオルを巻いたまま、兄の腰を跨ぎ、
腹筋に付きそうなほど勃起した猛りの上に、ゆっくりと腰を下ろしていく。
湯だけではない粘着質なぬめりが、そこには在って。
いつもとは違い、上半身を起こしている匠海の、
白黒ギンガムの5分袖シャツの上から、その広い両肩に手を添える。
ほうとひとつ息を吐き出し、
ヴィヴィはそこで、ゆっくりと動き始めた。
にちゅ、にゅちゅう。
微かに零れ始めた蜜音に、匠海が嬉しそうに顔を覗き込んできて。
「見ちゃ、駄目」
「それは無理」
主導権を握っている筈の妹の命令にも、兄はにっこりと微笑んで異論を唱えるだけ。