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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第5章    

「じゃあ、俺に抱き着いてイってごらん?」

 切り替えの早い兄に、

「め、命令しないでっ」

 若干 及び腰の妹。

「命令じゃないよ。俺からの “おねだり” だ」

 にやりとほくそ笑む、その憎たらしい顔を目にするのも癪で、

 ヴィヴィは結局、匠海の言う通りにした。
 
 白ニットタイを引っ掛けたままの首元に、細い両腕を絡ませ、

 散々お預けを喰らい腹を空かせた下の口に、太くて硬いものを与えてやる。

「……ふぅ、は……、ぁあ、ん、んンッ ぁん~~っ」

 ぷっくり膨らんだ肉芽が匠海に擦れる度、深い内側が疼いて。

「ヴィクトリア、可愛い」

 耳元で兄が掠れ声で囁く度、従順な躰が悦びに打ち震えていた。

「ぁん、お……にぃ、ちゃ……っ あ、あ、イちゃ……っっ」

 襟元から漂う匠海だけの香り。

 そんなものにさえ煽られ、めい一杯 兄の躰に縋り付けば、

 白いバスタオルが巻かれた ささやか乳房も、逞しい胸板に押し返されて。

(あ……、きもち、い……っ)

 そう思った瞬間、細い躰は昇り詰めていた。

「ひゃぅうんっ やァ、あ……っ あ、ぁン……っ」

 蕩けた声を上げ、ぎゅうぎゅうと縋り付いてくるヴィヴィに、

 匠海は羽枕を握り締め、ひたすら耐えていたらしい。
 
 ひくんひくんと物欲しそうにひくつく膣口よりも、触れ合った互いの胸のほうが好くて。

 襟元に顔を埋め、上半身を擦り付けていたヴィヴィは、それでも足りず、

 跨いでいた両脚でも、兄の腰に膝の内側を擦り付け、己を慰めていた。

(……抱き締めて、ぎゅって、して欲しい……)

 昨夜、外れてしまった避妊具を取り除いて貰った後、

 匠海からもたらされた暖かな抱擁が、脳裏を過ぎり。

「はぁ……っ 抱き締めたい」

 耳元にそう吹き込んできた兄の懇願を、すんなり受け入れそうになって。

 こくりと首肯しようとしたヴィヴィ。

 けれど、

「……だ、め……」

 今、匠海に抱き締められたら、どうにかなっちゃいそうで。

 泣く泣く、心とは裏腹の返事をするしかなかった。

 というのも、

 ヴィヴィは ここで終わるつもりなど更々無く。

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