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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第1章
7月11日(火)~13日(木)には、スケ連の特別強化選手合宿が中京大学にて行われた。
今年度の特別強化選手は、下記の通り。
男子シングル――
宇野 昌麻(27)
本田 太壱(26)
篠宮 クリス(21)
島田 高四郎(21)
西森 真瑚(21)
女子シングル――
宮平 知子(26)
本田 まりな(23)
篠宮 ヴィクトリア(21)
川畑 トモエ(21)
竹内 粋(21)
ペア・スケーティング――
下城 舞(26)
成田 達樹(26)
アイス・ダンス――
マリア 渋谷(25)
アルフレッド 渋谷(29)
安方 静流(19)
鈴木 賢太郎(21)
「………………」
もちろん、成田・下城組に帯同していた母・ジュリアンに、
先日の電話について、めちゃくちゃ叱られましたよ、ええ……。
2泊3日、贅沢な講師陣を迎え充実した合宿を終えた双子は、
翌 7月14日(金)から前日練習に入り、
今回の帰国25日間の約半分を占める THE ICE2023へと突入した。
「ヴィヴィ “冬眠” 開けたんだね~?」
自分とクリスを迎え入れてくれた THE ICEの主催――浅田 真緒は、開口一番そう発した。
「はい、本当にご心配をお掛けしました」
物心ついた頃からの憧れの人に、ヴィヴィは恐縮してぺこりと頭を下げる。
「ううん。信じてたよ、ヴィヴィなら絶対に大丈夫だって」
その暖かな声に救われ金色の頭を起こしたヴィヴィは、
見ると妙に安心する浅田の顔を見つめ、くしゃりと泣き笑いの表情を浮かべた。
『今シーズンは冬眠します』
昨年のシーズンオフ。
6月に参加した DREAMS ON ICE2022の番宣番組。
記者から「今シーズンの抱負は?」と尋ねられ、ヴィヴィは無表情でそう のたまった。
ミュンヘン五輪・個人戦で表彰台にも昇れなかった、平昌五輪・金メダリストのヴィヴィの去就は、
瞬く間に日本のみならず、世界中へと発信されてしまった。
その言葉の裏にあった本音――。
匠海との事で、心身共に深い傷を負い。
疲労困憊だったヴィヴィは、大変なシーズンを戦い抜く気力が湧いてこなくて。