この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
「そんなの、ヴィヴィの方が、大事……」
いつもならリンクにいる時間、わざわざ妹を出迎える為に在宅してくれていたとは。
「……クリス……。ごめんね、ありがとう!」
ダリルの腕の中から、クリスの胸の中へと飛び込めば、
「おかえり、ヴィヴィ……」
心底ほっとした様子で囁いてくる、双子の兄の声音に、
ヴィヴィも日常に戻れる安堵の溜息を洩らした。
「ん。ただいま……」
「ヴィヴィ、早く新しいお部屋見てヨ!」
緑色のくりんくりんの瞳を輝かせながら、ヴィヴィの片手を引っ張って行くダリル。
2階への階段を上がる2人に、クリスも着いて来ていて。
「ふふ。ダリル、クリスのお世話、してくれたの?」
ヴィヴィが日本に帰国する際、
「添い寝して、クリスのお世話してあげる❤」と豪語していた同居人に、面白そうに確認すれば、
「もっちろんよォ~。もうワタシタチ、酸いも甘いも噛み分けた仲♡ ですもんネ、クリスぅ~?」
タッタッタッと、数段階段を降りたダリルは、
金色の猫毛の髪をクリスの腕にすりすりしながら、熱っぽい瞳で見上げるが。
「……はい……?」
心当たりが全く無いのか、思わず階段の途中で立ち止まったクリス。
「はは。じゃあダリルは、クリスのお嫁さんだね~?」
帰国前のジュリアンの戯言、を真似てからかえば、
「妻デスゥ~♡」
拙い日本語を紡ぐダリルは、静々とクリスの半歩後ろに寄り添った。
「あははっ」
腹を抱えて笑うヴィヴィに、
「クリス 篠宮 ノ、妻デスゥ~♡」
調子に乗ったダリルが、今度はクリスの二の腕に、ちょこんと三つ指を付いてきて。
「あっはっはっ! ダリル、日本語 上手~っ」
階段の木の手すりに掴まりながら、ゲラゲラ爆笑するヴィヴィに対し、
「やめて……」
そう弱々しい声で懇願する、クリスなのであった。
「あれ? こっちは、クリスの部屋じゃ……?」
屋敷の正面から見て、右側の部屋に入って行こうとするダリルに問えば、
「僕のと、部屋替え、したんだ……」
後ろからクリスが説明してくれて。