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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
8月25日(金)。
真行寺 円が渡英してきた3日後。
その円と双子、そしてダリルは、ロンドン・ヒースロー空港にいた。
※以下、伝わりにくいと思いますが、ダリルが日本語解らないので、皆は英語で会話してます。
「クリス、どう? 見える~?」
4人の中で一番背の高いクリスが、背伸びをして きょろきょろするも、
「ん……。まだ、みたい……?」
国際線到着ロビーは週末という事もあり、沢山の客と迎えの人間で溢れていた。
「あ、あれじゃない? 紫のシャツの」
ヴィヴィが視線で示せば、隣の円は焦茶色の頭をフルフル振って否定する。
「いや~、あんなに太くないし。それに紫のシャツ、なんか――」
「あ……。見つけた……」と、クリスが呟けば、
「え? どこどこっ?」と、ヴィヴィがその長身によじ登らん勢いで問い、
「それより、準備ヨ、準備~っ」と、ダリルが皆を急かす。
縦1m×横3mの横断幕の端を持った4名は、こちらへと向かってくる人物を盛大に出迎える。
「「「「Welcome! To London~~!!」」」」
騒がしい空港の中で、注目を浴びる事など意に介さず、全力で叫んだ面々に、
「うわぁ……。どうしたの、これ……?」
茶色の瞳を真ん丸にした真行寺 太一は、それでも横断幕をしげしげと見つめ、冷静に尋ねてきた。
「昨日 夜なべして、みんなで作ったんですよ~♡」
まるで「褒めてほめて!」と言わんばかりに胸を張ったヴィヴィが、にんまりしてネタ明かしをすれば、
「そ、それはどうも、ありがとう。でも “御一行様” って? 僕1人なんだけど?」
“歓迎 ★ 真行寺 太一 御一行様”
そうデカデカ書かれた、巨大横断幕に突っ込む太一。
「なんか気分出て、いいでしょうが!」
噛み付かんばかりの勢いで言い返した円は、
「ちっ もっと良いリアクション、出来ないかなぁ~?」
と、兄の反応が、至って不服そうだった。