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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
「え……? あ、うんっ ちょっと、急用があってね~。1週間だけ帰国してたの」
にへらと笑って誤魔化すヴィヴィに、円は肘で小突いてくる。
「なんだ~、連絡してよ~」
「ん~。バタバタしてたから、連絡できなかったの、ごめん~」
まさか「元執事から強姦未遂にあい、両親に強制連行され、一時的に緊急帰国していた」等と、言える筈もなく。
「マドカ……。苺、あるよ?」
そのクリスの言葉に、円とダリルが速攻 喰い付く。
「やぁ~~んっ それを早く言ってよ~♡」
「アラ、10個しかないの? じゃあ、6個はア・タ・シ・のもの~」
「なんでさぁ~~!?」
それからは、円とダリルの 苺争奪じゃんけん大会 が始まり。
絶妙な助け船を出してくれたクリスとダリルに、心の中で感謝するヴィヴィなのだった。
それからの5日間は、あっという間で――。
双子は朝夜のレッスン以外は、真行寺兄妹と共に過ごした。
英国の伝統的な舟遊び・パンティングに挑戦し。
3mのある鉄の棒で川底を押すのに手間取った太一が、川に落ちそうになって。
やはり、円に「へたれ……」と突っ込まれ。
細長い小舟の上で、茶や酒を愉しんだ。
朝比奈が休みの日には、女性陣で料理を作ることになり。
早速 “洗いもの係” に任命されたヴィヴィ。
「パンプキンパイを作る用意、して~」というダリルの指示で、地下保存庫から大きなカボチャを取出し。
「ていやっ」
意味不明な掛け声を上げながら、シンクに置かれたボウルの中に投げ込めば。
「ひゃっ!? ヴィヴィ、冷たい~~っ」
顔に水が撥ねた円が、悲鳴を上げた。
「あ、ごめ~~ん。さあ、じゃぶじゃぶ~♪」
異様にテンション高めのヴィヴィの様子に、
「ねえ、ダリル。ヴィヴィどうしたの?」
マドカがいつも一緒の同居人に、不思議そうに問う。
「あ~~。いつもはキッチンに立たせて貰えないから、はしゃいでんのネ?」
パイ生地を練りながら苦笑するダリルに、円は顔に?を浮かべながら、チキンの下ごしらえを続ける。