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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第1章  

「……え? あ、れ……?」

 横倒しになったヴィヴィが、胸にぬいぐるみを抱いたまま起き上がろうとすると、

「ヴィヴィ……。女として、その無防備さはヤバいと思うけれど?」

 何でか自分に向かってベッドに膝を乗せてくる、ネイサンの姿が視界に入る。

「は、はあ……?」

 言われている事も、されている事も、全くもって意味不明で。

 上から覗き込まれたまま、瞳をぱちくりとするヴィヴィ。

 ギシリとスプリングを軋ませながら登って来た彼は、両膝で自分の身体を跨いでしまい。

「それとも、男性経験のない『ベーベちゃん』なのかな?」

「……――っ!?」

 その言葉で、ヴィヴィはやっと自分の置かれた状況を把握した。

(いや、まさか……っ だって、私、ガキっぽいし……、身体は薄っぺらいし)

「ほら、暴れないと、もれなく美味しく頂いちゃうぞ?」

 そう挑発しながら両手を自分の頭の傍に突いた、ネイサンの瞳はどこか濁っていて。

 顔が……、

 どちらかというと米国よりアジア寄りの顔が、自分へ向かって下りてくる。

「~~っっ ちょっ や!? 冗談、やめてっ」

 さすがに慌てたヴィヴィは、咄嗟に胸に抱いていたぬいぐるみを、ネイサンの顔めがけて押し付けた。

「うぷっ ……アルフレッドのイラッくまと、キスしてしまった……」

 微妙な表情でぬいぐるみを奪い取ったネイサンから、ヴィヴィは両腕を使ってベッドの上を後退し。

「か、か弱い女子を……っ いや、自分はか弱くはないけど、おちょくるのはやめて下さいぃ~~っ」

 60cm程 間合いを取ったヴィヴィは、驚嘆しながらそう喚いた。

 けれど、

「別におちょくってなんかないけど……? ヴィヴィ、性格も可愛いらしいし。最近 綺麗になったし。かなり好みだぞ、俺の」

 そうしれっと “女として見れる” と言われてしまった。

「え、えぇ~~っ!?」

 まさかの連続に、ヴィヴィは細い声で絶叫するしかなかった。

「今度、そう易々と男の部屋に入ったら、本当に襲っちゃうからな?」

 そう忠告しながらベッドから降りたその人は、ヴィヴィに手を差し伸べてきて。

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