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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
『ふふっ 分かったわ。前向きに検討するわ』
自分と “犬猿の仲” と称される彼女が、笑顔と共に手応えありそうな返事をくれたのが嬉しくて。
『じゃ、よろしく。あ、そだ。銀メダル、おめでとう!』
やっぱり無表情で、国別対抗戦の米国の健闘を称えれば、
『あなたも、金メダル、おめでとう。次は負けないわ』
女子シングルの順位では、ヴィヴィに継いで2位に甘んじた リー選手の宣戦布告に、
『…………、ヴィヴィもっ!』
一瞬、ぽかんとしたヴィヴィは、最後にはそう元気良く、ライバル心を燃やしたのだった。
――勿論、無表情で。
そんなこんな なやり取りからスタートした、ヴィヴィ と アンとの仲。
互いにメッセージのやり取りでしか繋がっていなかったが、今日やっと、4ヶ月ぶりに会う事が出来た。
「ヴィヴィ! 遅いよっ クリスはもう来てるのに」
中国系アメリカ人であるヴィヴィアンは、黒髪で顔付きもアジア人。
まるで生徒会長の様に、品行方正な事を言ってくるヴィヴィアンに、
「あ~、ごめんごめん。小難しい事考えてたら、時間掛かっちゃったぁ、てへ?」
まったく悪びれる様子無く、両手を合わせて笑って誤魔化したヴィヴィ。
「うきゃ~! 真緒ちゃんだっ 遠いところ、ご足労 感謝ですぅ♡」
「あっ 新婚ほやほやの結弦君だっ 奥さんも一緒に来たの~?」
きゃあきゃあ騒がしいヴィヴィに、クリスが紹介してくれたのは、
「ヴィヴィ……。こちら、フェルナンデシの彼女さん……」
「うわあ、初めましてっ 超美人さん♡」
ショーの為に世界各国から集まってくれた名スケーター達を、双子は暖かくテンション高く迎えたのだった。
日本の宮田 賢二によるグループナンバーを、必死こいて頭に叩き込んだ面々。
前日の夜は大会関係者を交えての、懇親会ディナーの場が持たれ。
そうして、8月30日(水)。
Twinkle ICE in LONDON の幕は開かれた。