この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第1章  

(う゛~~、何度やっても、恥ずかしいぞ……)

 それはきっと、双子の兄も同じ事。

 馬乗り状態の自分を見つめる灰色の瞳は、少し潤んでいて。
 
 互いに照れを隠す様に視線を反らし、ヴィヴィはクリスの腰の上から起き上がる。

『Roxanne――ロクサーヌ』

 テノールのしゃがれ声が、最後の歌声を響かせる中、

 片手を繋ぎ合って互いに正面に開いた双子。

 クリスに手を引かれ、ゼブラ柄のシャツの首に片腕を回した妹は、

 ぴょんと兄の片膝の上に、正座の状態で飛び乗る。

 その勢いを保ったまま、まるで飛び蹴りの如く、折り畳んでいた外側の脚を大きく振り上げて飛び上がり、空中で開脚し。

 開脚したまま氷の上に降ろされたヴィヴィは、腰を落としたクリスとホールドを組んだまま見つめ合い、フィニッシュした。

 その途端、赤い照明に彩られたリンクに響いたのは、

 耳をつんざく程の歓声――もとい悲鳴と拍手。
 
 それは今迄の双子プログラムでは無かったもので。

 21歳となり少しは大人へと成長した双子が演じて魅せた、アルゼンチン・タンゴに対する賞賛だった。

「やった……っ」

「うん……」

 震えた小声で囁き合った双子。

 1組の男女が互いを燃やし尽くしながら生み出す、噎せ返る様なタンゴの熱情。

 踊り終えると一瞬にして立ち消えてしまう “虚構の関係” が、

 ヴィヴィには何だか、儚く美しいものに思えて――。

 その気持ちのまま、双子の兄を見上げれば。

 自分を見下ろすクリスの瞳は、何故か苦しそうに歪んでいた。

 ふっと暗転するリンク。

 目の前の双子の兄の顔は見えなくなったけれど、

「……ヴィヴィ……。ずっと……、ずっと、一緒に、いよう……っ」

 自分を胸に抱き寄せるクリスの身体と、囁かれる声は震えていて。

「……クリ、ス……?」

 躊躇いがちに、兄の名を呼ぶ妹。

 けれど、

『Thank you、篠宮Twins――! さあ、みなさん。最後の最後を飾るのは、我らが浅田 真緒――!!』

 そう、次を告げるアナウンスに急かされ、双子はリンクサイドへと戻って行ったのだった。





/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ