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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第1章
意外にあっという間だった、日本での25日の滞在期間。
双子はTHE ICEの最終日に、関西空港から羽田空港へと移動し。
クリスはそのまま松濤の屋敷へと戻り、ヴィヴィは空港の傍のホテルに1泊した。
そして、7月24日(月)。
羽田を8:50に発った飛行機は12時間半のフライトののち、13:20にロンドン・ヒースロー空港へと降り立った。
東京とロンドンの湿度の違いに若干戸惑いつつ、執事のリーヴの迎えでオックスフォードへと戻った。
「お嬢様!? 本日もリンクへ行かれるのですか?」
青い瞳を丸くして驚きの声を上げるリーヴに、ヴィヴィはにっこりと微笑む。
「うん。空の上で爆睡したもん。それにコーチに早く会いたいの。なんせ25日も離れてたんだから!」
自分で車を運転するのも久しぶりで、それだけでも心が弾む。
すれ違う車には、カレッジの知り合いが乗っていて。
「お帰り、ヴィヴィ! 日本はエンジョイ出来たかな?」
窓から身を乗り出し尋ねて来たのは、ウィルフレッド・ベルゼイ。
10月からPPE(哲学、政治及び経済学部)の2年生へと進級し、ヴィヴィと共に学ぶ予定の男子学生だった。
「ただいま、ウィルっ 超楽しかった~! でも、こっちの気候の方が好き♡」
ハンドルを握りながら笑うヴィヴィに、
「あはは。今週末、残ってる連中で またBBQナイトするから、クリスとダリルと一緒においで?」
1歳下のウィルフレッドは、ラグビーで鍛えた腕で何故か力こぶを作って見せてくる。
「うん! 楽しみにしてる~っ」
後続車が来ていたので別れた2台。
15分して辿り着いた、オックスフォード・SC。
平日の夕方なのでちびっこスケーターがわんさかいて。
「あ、ヴィヴィ~!」
「おかえりなさ~いっ お土産は?」
群がってくる可愛らしいリンクメイトに、ヴィヴィは「ただいま」を言いながら、英国人の好む “抹茶キットカット” を配った。
「お! やっとお戻りですな、我がクラブのエースちゃんが」
そう声を掛けて来たのは、双子のコーチ――ショーン・ニックス。