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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章
せっかく黒くセクシーな衣装を纏っているのに、そんなガキっぽいヴィヴィに、会場は爆笑に包まれ。
『『『Welcome to TWI Edinburgh――!!
―Twinkle ICE in エディンバラ へようこそ――!!』』』
大合唱による歓迎の挨拶を皮切りに、
ヴィヴィはこのショーでは最後となる、己のエキシビを滑り倒したのだった。
16時から始まった夜公演も、3時間後には残すところ、エンディングナンバーだけになり。
「さあ、みんな。本当の最後の最後! 思い切って楽しんでおいでっ!!」
舞台袖。
このショーの全ての振付を担当してくれた、宮田 賢二に送り出されたスケーター 総勢16名は、
万感の思いで 英国では稀な大きなアイスショーのフィナーレを飾ったのだった。
「ヴィヴィ~~。せっかくダッド、最前列のど真ん中に座ってたのに。何で弄ってくれなかったんだ~~」
出演スケーター達が宿泊しているホテルの2階、バンケット・フロア。
21時から始まった、関係各社を集めた打ち上げのパーティーの席。
そう不貞腐れていたのは勿論、双子の父・グレコリーで。
「……いやいや。ダッド1人ならまだしも、隣にマムが座ってたら “2人が私の両親” ってすぐにバレるでしょうがっ」
何しろジュリアンは、世界で有名な双子の元コーチ。
娘が自分のショーで、数いる男性の中からワザワザ “父親を弄る” なんて事、出来る筈が無いではないか。
「ヴィヴィが、つれない~……」
娘の返事にしょぼんと、しょげ返ってしまった父。
しかし、
「でも、はるばる観に来てくれて、ありがとうっ! とっても、嬉しいっ♡」
そう素直に礼を口にしながら、グレコリーの広い胸に飛び込めば、
「~~~っ!! ヴィヴィっ ああ、もう、可愛いなあ~♡♡♡」
娘のツンデレ具合に、完璧にやり込められる父なのであった。
―――――
※ちなみに……
選手によっては、アイスショーにコーチを帯同する選手もいますが、
双子はジュリアンがコーチの時代から、ずっと自分達だけでショーに参加しており。
それはショーンコーチになっても、変わりません