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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第6章     

「ちょ~、ヴィヴィって、そんなにお酒強いの?」

 向かいに腰かけたヴィヴィアン・リー(USA・21)の、心配そうな声に、

「大丈夫っ 私、今日はとことん飲むつもりっ!」

 ヴィヴィは にかっと笑うと、全く頼りがいの無いガッツポーズをしてみせる。

 何せ、こんな(性的)欲求不満状態で “あんな双子プログラム” を滑りきったのだ。

 ――言わば、騎乗位みたいなポーズ取る、タンゴをね。

 今日のヴィヴィは、自分で自分を めい一杯褒めてやりたかった。

「じゃあ、とことん飲もうよ~、Here's to you!(みんなに乾杯!)」

 隣のテーブルの、マリア渋谷の乾杯の声に、傍にいた “のんべい” 達も、

「「「Here's to you!」」」

と、次々とグラスを空にし。

 陽気な面々は、常の試合後のバンケット宜しく、その辺で踊り始める始末。

 1人シラフな リー選手は、それでもニコニコ上機嫌で、酔っ払い達を見たり、写真を撮っていたりしていたが。

 それに気付いたヴィヴィは、おもむろに席を立つと、彼女の手を取って立ち上がらせてしまった。

「なあに? ヴィヴィ?」

「アン! タンゴ踊ろう、タンゴっ!」

 両手を掴んでくるヴィヴィに、ぶらんぶらん腕を振られるヴィヴィアン。

「はい?」

「だって、言ってたじゃな~い。「双子のタンゴ、カッコ良かった。私もタンゴ、今度滑ってみようかな」って~」

 こてと金の頭を倒し、言い募るヴィヴィに、

「い、言ったけど! でも習った事無いから、踊れないわよっ!」

 慌てた様子で逃亡しようとする リー選手を、ヴィヴィは逃さなかった。

 自分が男役になりきり、女役に見立てたヴィヴィアンと、がっちりホールドを組むと。


♪串に刺さって ダンゴ ダンゴ

 3つ並んで ダンゴ ダンゴ

 醤油塗られて ダンゴ ダンゴ

 ダンゴ3兄弟♪


と、自ら歌ったタンゴ調のBGMで、前へ横へと、タンゴの簡単なステップを踏み始める。

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