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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章      

 左の掌の中心部を、匠海の両の親指でモミモミされると、何故だか全身の力が抜けて。

 計6日間のTWIで無意識に溜め込んでいた疲労が、目の奥、肩、首、背筋から滲み出て、

 脳天から悪いものが昇華していく感じの、気持ち良さがあった。

「右手もしてあげようか?」

「……お、お願いします」

 あまりの気持ち良さに、反対の手もして貰えば、やはり良くて。

「何でだろう?」

 自分でも同じ様に掌の窪んだ部分を揉んでみるが、兄からされるのとは雲泥の差があった。

 他人にされるから良いのだろうか? と、ヴィヴィは特に何も考えず発していた。

「ねえ、やらせて?」

「どうぞ」

 差し出された大きな右掌を、ヴィヴィは両の親指でマッサージしていく。

「……気持ち、い?」

 掌を見つめながら、そう問えば、

「ああ、もう昇天しそう」

 大げさな匠海の返事に、ヴィヴィは俯いたまま唇を尖らせる。

「……~~っ 嘘ばっかり!」

「手首の付け根辺り、擦ってくれるか?」

「……? この辺?」

 言われた通り、指の腹で擦ってみる。

「そうそう、気持ち良い」

「そ?」

 自分は、そんな血管が集まっている場所を触られるのは嫌だなと思いながら、また掌の窪みをモミモミしていると。

「今度は、小指」

 長い小指をくいくい折り曲げ、強請ってくる匠海に、

「……何で私が……お兄ちゃんのマッサージを……」

 不服そうに ぶつぶつ零し始めたヴィヴィ。

「ふ……。悪い、今度は俺がやってやる」

 苦笑した兄は、拗ねる妹の左手を取り、同じく小指を揉み解し始める。

「掌にはね、沢山のツボがあるんだぞ?」

「ふうん……、あ、小指も気持ちいい……」

 優しく指圧してくれる兄の指に、薄い唇から洩れたのは、うっとりとした掠れ声。

「だろう? ちなみに、手首と小指は “生殖器” のツボで――」

「~~~っ!?」

 思わず、左手を ばっと兄の両手から引き抜いたヴィヴィ。

 途端に顔が火照っていくのを感じていた。

(せ、生殖器のツボなのに……、き、気持ちいいって言っちゃったよぉ~~っ)

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