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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章      

 上の口では、兄を拒絶しているのに、

 下の口では、こんなにも兄を欲し、貫かれる悦びに涎を垂れ流し歓喜している。
 
 その矛盾に尚更、上の口からは否定の声が零れてしまい。

「ふぁ……んっ も、やだぁ……」

 細い背筋が窪んだ弧を描くその下、これ以上動いたら、また自分だけ達してしまいそうで。

 だから、

「ヴィクトリア。現役引退したら、一緒に乗馬しないか?」

 匠海からの唐突な問いには、正直 救われた。

「え……?」

「俺、1年前から再開したんだ、馬術」

「…………そう」

(お兄ちゃん……乗馬、続けてるんだ……良かった……)

 兄の言葉に、妹は内心ほっとしていた。

 「匠海の趣味は?」と聞かれて、思いつく順番は、

 ①乗馬

 ②ピアノ

 ③チェロ

 なのに、篠宮家の長男として役目を果たす為、一番夢中になっていた乗馬を高卒と共に諦めてしまった匠海。

 本人は「乗馬より家業に興味があっただけ」と言うだろうが、ヴィヴィはそうは思っていなかった。

「興味あるか?」

「ちょ、ちょっとは……」

 15歳の頃。

 初のシニア国際大会で金を獲りながらも、ある理由で落ち込んでいた自分。

 乗馬へと連れ出してくれた匠海の手で、馬上へ押し上げられ。

 そこで見た いつもと違う高い景色と、ふっと心軽くなる爽快感は、今でも忘れられない。

(今は無理でも、確かに引退したら、一から学んでみたいかも……)

 匠海との日常の会話に捉われ、非日常の現状を失念していたヴィヴィ。

「じゃあ、予行練習しよう」

 そんな匠海の言葉に、

「……はい……?」

 一瞬、何を言われたか解からず。

(予行練習って、何の?)

 兄の顔の傍、両手を突きながら首を捻っていると、

「ほら、ぱっかぱっか」

 馬の蹄音を模した間抜けな声と共に、匠海が下から突き上げてきた。

「ひゃうっ!? う、動い、ちゃっ だめぇ~~っ」

 両手首を拘束されながらも、器用に腰だけで突いてくる兄に、

 妹の膣内はビクビクと戦慄き、大きな瞳をきゅっと細め、必死に耐えていた。

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