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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章
「うん?」
更に妹に先を強請らせようとする、意地悪な兄の目の前、
剥き出しの細い両腕は、咽喉仏から逞しい胸板、引き締まった腹筋を辿り。
そして、自分の細腰へと、切なそうにきゅうと巻き付けられた。
「ヴィヴィの奥……、おにいちゃんの、気持ちいいの、いっぱい……っ」
(もうやだよぉ……、私1人ばっかり、やなのぉっ)
自分が抱いているのだから、自分だけ達すればいい筈なのに。
兄も好くなってくれないと、まるで自慰をしているようで。
それが何だか、途轍もなく虚しくて。
(お兄ちゃん……。もうヴィヴィじゃ、満足させてあげられないの?)
自分の躰には異様な執着を見せる匠海に、
どうしても向けてしまうのは、自信を喪失した情けない双眸。
けれど、ヴィヴィの想いと匠海の想いは、180度異なっていたらしい。
「ああ、もう我慢出来ないっ 欲しがり屋さんのヴィクトリア、死ぬほど可愛いっ」
どうやら、必死こいて(先にイかないように)虚勢を張り続けていたらしい兄。
妹の腰を、捲り上げた黒スカートと一緒に掴み上げると、下からずこずこと力任せに突き上げてきた。
「わっ!? きゃ……っ」
右脚を兄の胸上に置かれていた妹は、バランスを崩しそうになり。
ちゃんと両脚で匠海の腰を跨ぎ直したヴィヴィに、下から両手が差し出された。
「ほら、お馬さんごっこしようね?」
騎乗位をそんな風に茶化してくる兄に、
「バ、バカっ」
妹はそう窘めながらも、おずおずと両の指を絡ませた。
「ん~? 昔、よく “ヴィヴィ” におねだりされたけれど? 「おにいちゃま、ぱっかぱっかしてぇ?」って」
「 “天使ちゃん” に舌足らずな声で懇願されると、断れなくてな」と続けた兄は、にやにや想い出し笑いをしていた。
「……っ こ、子供の時だもん」
それに、匠海にそう強請った人間は、
もう1人、いただろうに。