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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章      



 どうして?

 どうして?

 どうして今更、そんな風に私を責めるの?

 私は必死に、過去の己の過ちを償おうとした。

 匠海を恋人として愛し、支え、

 生涯を捧げる誓いを立てた。
 
 けれど、

 そんな私を裏切ったのは、

 お兄ちゃん、

 貴方じゃない――っ



「ヴィクトリア……。そうじゃない、違うよ。責めてるんじゃない」

 分厚いバスローブを纏った華奢な躰が、小刻みに震えているのに気付いた兄は、

 血の気の引いたほっそりした両手を包み込み、体温を分け与え、落ち着かせようとしてくる。

 ふるふると金の頭を振り、弱々しく抵抗するヴィヴィに、

 匠海は片方の手を、己の咽喉仏へと導いた。

「確かに、俺は林檎を咽喉に詰まらせた。

 “ヴィクトリア” を知って、今まで見ていた世界を楽園だと思えなくなった。

 妹であるお前しか欲しくなくなり、自分達以外の人間を裏切り続ける人生が待っていた」

「………………っ」

 また自分を責める匠海の言葉に、細い肩がびくりと跳ね上がるが、

 覗き込んでくる端正な顔には何故か、柔らかな微笑みしか無かった。

「でもね、ヴィクトリア。俺は “幸せ” なんだ」

 言動が一致しない目の前の兄に、妹はただ混乱し。

「俺はお前を愛している。そしてヴィクトリアを女性として愛せる事に、それまでの人生以上の楽園を見ているんだよ」

 匠海の愛を囁く言葉にさえ、まともに耳を傾けられなかった。

「ヴィクトリア、俺が欲しいんだろう?」

 掌に触れる兄の象徴が、

 自分の信念を揺るがし。

「……いら、ない……」

「一緒に林檎を食べて堕ちて欲しいと、本当は心から願っている」

 皮膚を通して伝わってくる兄の熱さが、

 自分が必死に守ってきた牙城をも、崩しにかかる。

「そんなこと……っ 一つも思ってない!」



 だって。

 だって、私は希った。

 お兄ちゃんが、どうか幸せでいてくれるようにと。

 自分が与えられなかった幸福を、

 新たな家族から受け取って欲しいと――


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