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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章
9月16日(土)には、
Opera on ICE イタリア・ヴェローナ
9月30日(土)には、
ジャパン・オープン & カーニバル オン アイス
埼玉スーパーアリーナ
そして、
10月6日(金)からは、GPシリーズ初戦となる、
NHK杯 大阪門真市 なみはやドーム
――が控えていた。
「ちなみに、ジャパンオープンは、私は帯同出来ないが」
申し訳無さそうに断わったコーチに、
「あ、はい」
「分かっています……」
双子はこくりと首肯する。
ショーン・ニックス コーチは御年75歳。
元々、英・米両国を中心に活動していたところ、
「そろそろ故郷で、ゆっくりしたい」と英国へ戻り、ここオックスフォードに腰を据えていた。
そこへ、いきなり双子の様な どえらい選手を抱える事になり、その負担は計り知れない。
ジャパンオープンは、FSのみで行われる試合だし。
かつ、コーチ陣はリンクサイドには立つが、キス・アンド・クライには(3ヶ国対抗戦なので)選手達しか座らない。
ISUの公式ルールに乗っ取った、シーズン初戦の試合ではあったが、一種お祭りのようでもあった。
(それに、サブコーチ、来てくれるし……)
女性の英国人サブコーチと、柿田トレーナーが帯同してくれる事になっていたので、双子は全然気にしていなかった。
なので、次にショーンコーチが発した言葉には、2人して驚嘆してしまったのだ。
「だからね。替わりに、ジュリアンに頼んでおいたから」
「「……へ……?」」
直立不動で凍り付いた双子に、
「ふっふっふ」と悪そうに嗤う、お爺ちゃんコーチ。
その途端、2つの金の頭の中には、同時に “元・鬼コーチ” の顔が過ぎり、
「「……え゛~~」」
広大なリンク一杯に、双子の何とも言えない声が轟いたのだった。