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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章
みっちり4時間のレッスンを終え、フィットネスルームで身体を労り。
ロッカールームへと戻る道すがら、
「あ、ヴィヴィ。さっきマネージャーから「スケジュール更新したから、見ておいてね?」って連絡あったぞ~」
そう声を掛けて来たのは、柿田トレーナーだった。
「何が変わったんでしょう?」
「Opera On ICEのスケジュールとか、後、取材が殺到してるから、纏めて入れたらしいぞ?」
そう言えばシーズンイン直前なので、日英のメディアも取材合戦に突入するのかも知れない。
「は~い。チェックしておきます」
また、15時半には再会するトレーナーに、一旦別れを告げ。
女子のロッカールームへ戻ったヴィヴィは、言われた通りにスケジュールを確認しようと、スマホを取出し。
文字通り固まった。
「……うわぁ……」
何故なら、
不在着信が20件、メールが5件もあったから、で――。
恐るおそる着信時間を確認すれば、6:30に集中し、その後30分置きの着信。
そしてメールは、大体どれも同じ様な内容だった。
Title:何処にいるんだ?
Letter:
起きたらいないなんて、
びっくりするじゃないか!
今、何処にいる?
オックスフォードまで送るから、
居場所を教えてくれ。
言わずもがな、自分の兄からのものだった。
どうやら、途轍もなく自分を心配しているらしい匠海。
それもそうか。
昨夜あんなやり取りをしておきながら、忽然と相手に姿をくらまされたら、確かに驚くかも知れない。
ただ、ヴィヴィからしたら、
本来なら昨日の夜には、ロンドンを発つつもりだったのが、
匠海に抱き潰されたから、仕様が無く。
泣く泣く 寝ぼけ眼をこすりつつ、今朝の4時初のTUBEに飛び乗っただけで。
「………………」
(ていうか……、ヤル事やって用済みなんだから、とっとと消えてくれた方が、清々するんじゃないの?)
胸の中でそう反論してみるも。
やはり、自分に非が有るような気もして。