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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章      

「……はぁ……」

 3mも歩かない内に、思わず漏れた嘆息の声。

 そりゃあ、ため息のひとつも吐きたくなる。

(私……嘘吐いてばっかり、だ……)

 車2台が何とか行き交える程 狭いマートン・ストリートは、街灯が無く。

 ただ、両脇の石造りの建物からは、煌々と暖かな光が漏れていた。

 いつも何気なく通っている、その通学路のホテルに、

 まさか自分がこんな用件で、足を踏み入れる事になろうとは、思いもよらず。
 
 重い足取りでも、すぐに着いてしまったそこ。

 ベージュ色の石造りの建築物に、見落として仕舞いそうなほど、小ぶりな赤屋根のエントランス。

 ドアマンはおらず、木製のドアを押し開ければ。

 その時になってふと、ヴィヴィは違和感を覚えた。

(こんなホテル……お兄ちゃんが使う、なんて……)

 17世紀の馬車宿を改装したホテルは、オックスフォードのど真ん中という立地条件は申し分無いが、

 フランス系チェーンホテルというよりは、個人経営の小洒落た宿という印象で、

 正直、昨日 滞在したロンドンの高級ホテルや、過去に兄が取ってくれたホテルとは、程遠かった。

 小さなフロントデスクを通り過ぎ、奥に位置するエレベーターへ行くのかと思いきや。

 ロビーの奥に見つけたバーへと、何故か足を向けたヴィヴィ。

 赤毛の女性バーテンダーが常駐している、3客分しかないカウンターに着くと。

「テキーラ、ショットで」

 そう手短にオーダーする。

 常と同じくすっぴんで、21歳にしては童顔なヴィヴィ1人なのだが、ここは英国。

 18歳から(全面的に)飲酒可能なので、女性バーテンダーはにっこりと微笑み「畏まりました」と了承した。

 用意が出来るまでの間、脚の長い椅子へ腰掛け直し。

 バーとロビーラウンジの様子を、ぐるりと見渡す。

 書棚をデザインしたモダンな壁紙。

 赤い1人掛けソファーが並べられた落ち着いた空間には、2組しか客がいなかった。

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