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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章      

「お待たせ致しました。アリバ・シルバーです」

「ありがとう」

 礼を述べ、カウンターに置かれたショットグラスを摘まみ上げた、そのヴィヴィの心中は、

(ていうか、呑まんと、やっとれんわ~~いっ!!)

 ――つまり、ヤケクソ気味だった。

 透明な液体 全てを、勢い良く口内に流し込めば、

 口腔粘膜が、かっと焼ける熱さを感じ。

「~~~~っっ!?」

 両の指先をワキワキさせ、飲み下せずに悶絶していると。

「頑張って呑み込んで下さい。その後、ライムを齧って」

 一部始終を見ていたらしい、バーテンダーに促され。

 なんとかごっくんしたヴィヴィは、半泣き状態で くし切りライムに噛り付いた。

「ふふ。テキーラ、初めてでしたか?」

「はいぃ……。しょ、食道が燃えるぅ~~っ」

 咽喉から食道、胃の場所を、生まれて初めて身を以て知ってしまい。

 出されたチェイサーも半分飲み干せば、やっと身を焦がす熱さが和らいだ。

「ふぅ……」

 薄い唇から安堵の息を吐き。

 おしぼりで両手を拭ったヴィヴィは、一瞬の躊躇の後、

 取り出したスマホのCALLボタンを押した。

 2コールで出た相手に、

「着いた……」

 そう簡潔に要件を伝える。

 口調がとんでもなくぶっきらぼうなのは、来たくて来た訳では無いから。



『こっちに来られないなら、俺が行くが? 顔を見て、話だけでもしたいんだよ』



 等と、相手に足元を見られたからだ。

『馬鹿。迎えに行ったのに』

 窘める声音で反応した兄に、

「……歩いて3分、なんですけど……」

 否――普通に歩いて来れば、2分で着く。

『それでもだよ。夜は危ない』

「で――?」

 昨日も会ったのに、今さら何の用?――と一文字で促せば。

『ああ、今行く』

 通話を切った匠海は、2分後にはヴィヴィの待つバーまで降りてきた。

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