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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章
「おにぃ、ちゃ……っ はぅ、凄いっ やぁんっ」
ねえ、好きよ?
ねえ、大好きよ?
「ヴィクトリア……っ くっ」
ねえ?
お兄ちゃんだって、そうでしょう?
本当は、ヴィヴィ以外の女になんて、
全然 興味無いくせに――。
細い両太ももに、腕を掛けて固定し、
そこを ばちゅばちゅと音を立てながら腰を打ち付ける、自分の元恋人。
シーツを掴んでいた指を解き、兄の腕へと縋り付けば、
一旦腰を止めた匠海に、互いの指を絡ませられた。
「……おに、ちゃ……?」
あまりにも素直に、とくりと波打つ、浅はかな鼓動。
「ヴィクトリア……っ」
苦しそうに妹を呼ぶ兄の瞳には、獰猛な力があって。
限界が近いのか、上から突き込むように腰を振り始めた匠海に、
「やだぁっ ダメっ ぁ、あんっ イっ ちゃう……、おにぃちゃぁんっ」
先程までのさざ波のとは異なる、大きな荒波に身構えたヴィヴィは、
白いシーツの上、必死に金の頭を振るう。
しかし、
「言って。ヴィクトリアっ 俺が「好き」って!」
兄の求めたその行為に、
天国を掴みかけていた指先が、ふっと空を切った。
『ヴィクトリア、俺が欲しいんだろう?』
『一緒に林檎を食べて堕ちて欲しいと、本当は心から願ってる』
昨夜の記憶がフラッシュバックした途端、
先ほどまでの昂ぶった己の感情に、一気に頭から冷水をかけられた。
「―――っ 駄目……っ」
冗談よ。
全部、冗談。
私はお兄ちゃんを「好き」なんかじゃない。
まして、愛してなんかいやしない。
ただ、ちょっと、気持ち良かったから。
だから、
脳味噌とち狂っちゃっただけ、で――
自分自身に言い訳を重ね、瞳を反らせる妹に対し、
真っ直ぐに見つめ降ろしてくる兄の瞳は、それこそ真剣で。
いつも自信に満ち溢れた男には不釣り合いな “焦り” を、色濃く映し出していた。
「愛してる、ヴィクトリア……。好きだ、好きなんだっ」
「……――っ」
まるで怒りをぶつけるように喚く匠海に、その瞳を真正面で受け止めるしかなかったヴィヴィ。