この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章      

 からかう様に、頬を擽る指先をも舐め上げ、

 私は最期にもう一度、

 “貴方の味” を憶え込む。



『幸せにならないと、絶対に許さない――っ』



 全てを諦めて、

 他人に “愛している男の幸せ” を託した。

 けれど、

 匠海は結局 “幸せ” にはなれなくて。
 
 だったら、

 もう私がやる事なんて、

 一つしか、ないじゃないか――



 鉄錆味の唾液をこくりと飲み下し、

 ゆらりと上半身を上げたヴィヴィ。

 もう、妹が何を口にするのか解かっているのだろう。

 憎たらしいほど、自信に満ち溢れた端正な顔を、

 最期に一度、上からぎろりと睨め付け、

 そうして自分は、

 禁忌を上塗りする言葉を、頼り無い薄い唇から発するのだ。



「私、を……」

 妹の擦れた声に対し、

「うん」

 返された兄の相槌は、夢見るように甘ったるい。

「私をお兄ちゃんの愛人にして下さい」

 意外にもするりと言葉に出来たその懇願に、自分でも少し驚いていると。

 嬉しさを噛み締めていた筈の匠海の表情が、一転、

 むすっとした、拗ねたガキ丸出しの物へと変貌した。

「嫌だ」

「……はぁ~~っ!?」

 薄い腹の奥から、全然どすの利いていない声を上げたヴィヴィ。



 “セフレ” も嫌だ。

 “愛人” も嫌だぁ~~っ?

 じゃあ、私に “性奴隷” にでもなれってのっ!?



 腹の上に馬乗りになったまま、憤り(?)に震えている妹に、

「 “恋人” ならいいけれど “愛人” は嫌だ」

 兄は偉そうに片肘を付きながら、自分の主張を唱えてくる。

「………………」

(……な……、何言ってんだ、この人……orz)

 心の中で、虚脱しながら突っ込みつつ、

 一方で、ヴィヴィは嫌な事を思い出していた。

 そういえば、

 自分しか知らない “兄でない匠海” は、

 物凄い我が儘で、自分勝手で、甘えん坊――だった。

 加えて、やきもち焼きで――

(はぁ……、欠点をあげつらったら、キリが無い……)

 それに “あばたもえくぼ” 

 ヴィヴィにとっては、そんな匠海が、

 “愛おしくて堪らない” のだから。

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ