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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第7章
「やだっ 寒いから、早くホテル戻って」
聞こえる筈が無いのに、離れた場所にいる兄に語りかければ。
軽く手を挙げた匠海は、にっこり微笑んで去って行った。
その姿はすぐに、ブロックの向こうへと消えてしまって。
その途端、
薄い胸に去来したのは「次、いつ会えるんだろう?」という尚早な疑問。
「………………」
(やっぱり、ちょっと淋しいかも、知れない……)
しばらくしょぼんとしながら、誰も見えない窓辺に立ち尽くしていた。
数分後。
小雨が本降りになった頃、高い鼻から細い息を吐き出したヴィヴィは、
常と同様にリンクへ行く準備をすべく、窓際を後にした。
2023年9月6日(水)。
こうして、
わたくし、篠宮 ヴィクトリアは、
齢21にして、
元恋人 兼 実兄の “愛人” になりました――。
とさ……(´;ω;`)