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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章    



 9月8日(金)――愛人生活3日目。



 その間、ヴィヴィがした事といえば、匠海から掛かってくるSkypeに出る事くらいだった。

 出勤前の元気そうな兄を目にして安堵し、

 シャツにタイ姿の、凛々しい兄にときめいて。

 加えて、

 妹と毎日会話が持てるというだけで、嬉しそうな兄を目にし、

 自分は覚える――“幸せ” という感情を。

 そして、

『おやすみ、ヴィクトリア。愛しているよ』

 そう言って通話を切る兄に、若干の淋しさを感じ、

 その一方で、当惑していた。



 こんなので、良いのかな……?

 今、私がお兄ちゃんの為にしている事って、
 
 23時過ぎに掛かってくる電話を待ち、出る事くらい。

 私からも会いに行ったりした方が、良いのかな?

 でも、シーズンイン直前だし。

 試合始まったら、大学との両立で死んでるだろうし。

 それに、

 愛人の自分から、勝手に行動を起こせば、

 お兄ちゃんと、そしてその家族に、

 迷惑を掛けてしまうかも知れない……。



 そうしてまた、思考は巡る。

 重く憂鬱で、出口の見えない、暗黒の世界へと――。

 ここ2日。

 そのループを繰り返していたヴィヴィは、しかし、はたと気付いた。



 私、これからの人生、

 ずっとこんな暗~~い気持ちで、生きてかなきゃいけないの?



 自分は、男は匠海しか愛せなくて。

 欲しくなくて。

 そして、匠海としか躰を重ね合わせられない。

 というか、

 兄しか受け止めたくないし、己を委ねたくない。

 一生独身を貫くと決めたのだ。

 それならば、たった一時でも、匠海の “愛人” として傍にいる事を求められた現状は、

 自分にとっては “悦ばしい状況” なのではないだろうか?

 己で愛人になると決意したのだ。

 だったら、もう うだうだ滅入ってばかりいないで、その路を極めればいい――。
 
 まさにどん底から浮上し、開眼したヴィヴィは、目の前がぱあと明るくなった気がした。

 そして、そもそも、

 “愛人とは、どんな事をすれば良いのか――?”

 当たり前だが “愛人・初心者マーク” のヴィヴィには、解かっておらず。

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