この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章    

 双子の兄を信用しているから、その投資内容も確認しなかったし。

 最悪 戻って来なくても、後腐れ無い金額を預けたとはいえ。

(クリス……。一体、何してるんだろう……)

 確認したいような、そうで無いような。

 微妙な表情を浮かべ、『美しきかな錦鯉』の背表紙を指先で撫でながらも、別に不安には思っていない。

 ヴィヴィにとっては “身の回りの世話をしてくれる執事” である朝比奈だが、

 今や、クリスにとっては “ビジネスの片腕” となっている。

 元々、双子のお目付け役 兼 乳母(?) 兼 執事 の朝比奈が、

 日本と英国で離れていた間も、その全てに関与していたのだから、

 確実に、違法な事には手を染めていない筈。

 それに、クリスは “フィギュア命”。

 選手生命を断たれる様な醜聞を、この頭の良い 出来た兄がする筈も無かった。

「それで……?」

 PCから ちらりと視線を上げ、来訪の要件を促したクリス。

 また視線を落とし、瞳と両手は忙しなく働かせてはいるものの、

 意識はちゃんと、妹へと向けてくれているのは解かり。
 
 ヴィヴィはようやく、薄い唇を開き、要件を口にした。

「私、お兄ちゃんの愛人になった」

 芯のある声音が発した言葉に、キーボードを叩いていた微かな音が途絶え。

 そして、沈黙が降りた、広い部屋。

 ヴィヴィは真っ直ぐ、クリスを見つめていたけれど、

 クリスはずっと、PCに視線を落としたままだった。

 しばし、固まった様に微動だにしなかったクリス。

 やがて、細く嘆息を零すと、また瞳と指先を働かせ始める。

「それは “ヴィヴィが望んだこと” なの……?」

 こちらを見もせず、問うてきたクリスに、

「うん。自分で決めたの」

 そう答えたヴィヴィの声は、まるで自分に言い聞かせている様なそれ。

「そう。分かった……」

 短く了承した兄は、傍に放ってあったヘッドセットを装着し、PCでどこかへ電話を掛ける様だった。

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ