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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章
「そう」
まるで「今日は午後から雨の予報だよ?」と注意を促された事に対し、返す相槌と相違無い返事をし。
入って来た時と同じく、ゆっくりと双子の兄の部屋から辞去したヴィヴィ。
吹き抜けに吊られた小さなシャンデリアが柔らかく照らし出す、板張りの廊下を戻りながら、
思考を拒絶する頭の中に、一度だけ、先程の言葉を思い起こす。
『愛しているよ』
生まれてこの方、
数え切れないくらい掛けられた、クリスからの親愛の情。
それが「どんな種類の愛情か?」だなんて、
自分は恐ろしくて、
きっと一生、
確かめる事なんて、出来やしないのだ。
そして、それはきっと、
クリスも同じ、なのだろうと思う――