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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章
最後、義理の父・ヘロデ王に
「あの女を殺せ――!」
と、命じられ刺殺される。
――という最終場のくだりを(当時・黒ヴィヴィ様だった)ヴィヴィが、至極 残酷に表現し。
1万人超の欧州の観客を、恐怖のどん底に突き落とし、半泣きにさせた事くらい――であろうか。
そのせいであろうか?
今年度、21歳となったヴィヴィの演目はといえば、
下記の、17歳のシーズンのFS “だけ” だった。
戯曲「サムソンとデリラ」より
“愛よ か弱い私に力をかして” & “バッカナール”
(ホントは私、「LULU」、したかったんだけどな~……)
オペラ「LULU」の最終場。
切り裂きジャックに腹を掻っ捌かれた、ヴィヴィ扮するルルが、
1万人の目の前で、己の臓物を抱え上げ「ふぎゃぁ~~~っ!!」と絶叫すれば、
さぞ、オペラおたくの皆様は、悦んでくれただろうに――
しかし、
「お、お客様が怖がるので、今年は勘弁して下さいぃ……orz」
そう、主催者に怯えながら断られ。
今年は渋々「サムソンとデリラ」にしたのだった。
ちなみに、昨年も今年も、クリスは参加していない。
双子の兄にも、オファーは来ているのだが、
「シーズンイン直前に、Opera on ICEの為だけに、オペラの演目を振付している時間がないから」
と、断っていた。
そんなこんなで、視覚と聴覚を存分に愉しませてくれる、一夜限りの贅沢過ぎるアイスショー。
ヴィヴィも、オケとメゾソプラノ歌手が謳い上げる “デリラ” の、力強いエネルギーを受け止めながら、
華奢な身体に “サムソン” と “デリラ” 両者を乗り移らせ、精一杯 会場を沸かせたのだった。
―――――
※クリスはオペラ、試合やエキシビで滑ったこと無いんです(汗)