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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章    

 すると、

「「「クリス、カッコイ~~っ♡♡♡」」」

 女子のリンクメイト達が、色取り取りの瞳をまさに♡にし、双子の兄の周りに群がっていた。

 以前、タンゴの演目を経験しているクリスは、今シーズンは『ファルーカ(フラメンコの一種)』を選択していた。

 タンゴから派生したと云われ、男性が躍るファルーカ。

 闘牛士を模したウェスト高めの、黒と赤の衣装を纏った双子の兄は、

 確かに妹の目から見ても、もんの凄く恰好良かった。

「脚長~~っ 逆三角形にも見えるし、ヒップライン、超セクシーっ」

 ヴィヴィも、そんな賞賛の言葉を贈ったのだが、

「……妹に「ヒップライン、セクシー」って、言われても……」

 褒められた筈のクリスは、何故か微妙な雰囲気を漂わせていたのだった。





 その日の夜。

 連日、23時過ぎに掛かって来るSkypeで、

 ヴィヴィは匠海に対して “如何にクリスの新衣装とプログラムが、カッコいいか” を力説していた。

 ――わざわざヴィヴィが解説せずとも、匠海は会社から帰宅後、

 いつもの様に “リンクの録画データ” を、見るのだろうが。

『へえ、それはまた、クリスファンが増えるな?』

 興奮気味の妹に瞳を細めて笑う兄は、ヴィヴィの新衣装についても聞きたがったが。

「……それは、うん……。動画か、試合で見て……」

 別に普通の衣装なのに、恥ずかしがったヴィヴィは、そう言葉を濁す。

『ふうん。じゃあ、今晩帰って来て、じっくり見てやろう』

 せっかくの凛々しいスーツ姿なのに、にやりとエロく嗤う匠海は、出勤前とは思えないほどリラックスしていて。

 そして何故かその腕に、白い縫いぐるみを抱いていた。


―――――

※クリスは15歳の時『アディオスノニーノ』でタンゴ滑ったのん
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