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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章    

「……それ……」

 ヴィヴィが画面越しで突っ込んだのは、昨シーズンのヴィヴィのSP衣装を纏ったウサギさん。

 黒一色の衣装は生地が少なく、肌襦袢ばっかりの衣装だったのだが、縫いぐるみでは可愛い出来上がりだった。

 白いウサギさんの両腕を、大きな掌で包み込み、その腕を画面に向かって振って見せる匠海は、何だか楽しそうで。

『早く、今シーズンの縫いぐるみ、発売してよ』

 せっついてくる兄に、妹は途端に白い目を向ける。

「よく言う……」

(「23の男が、あんなのと一緒に寝れるかっ」って、最初にプレゼントした縫いぐるみ、クローゼットに仕舞い込んでたくせに……)

『 “LULU” のウサギは、匠斗に取られたんだ。あれ抱っこしていると、落ち着くらしくて、毎日一緒に寝てるぞ?』

「ふうん……」 

 そう言えば、1歳の誕生日に撮られた甥の写真では、くだんの縫いぐるみを手にしていたっけ。

「ていうか、お兄ちゃんが縫いぐるみ買って、何に使うの?」

 まさか、この兄が縫いぐるみと一緒に寝たりなど、する筈も無く。

 ふと疑問に思い尋ねた妹に、兄は悪い貌で嗤う。

『ん? ああ、もちろん。こうして、こうして、こうしてやる』

 ぺろりと黒スカートを捲ったかと思えば、(当たり前だが)真っ平らな胸に端正な顔を押し付け。

 そして最後――何故か、ジャケットの胸の隙間に、縫いぐるみを突っ込んだ匠海。

 その度に「ぎゃあっ!? やめて変態っ!」と喚く妹に、兄は至極 満足そうだった。

『あはは。今日もヴィクトリアの元気な声、聞けた』

 スーツの胸に未だ縫いぐるみを突っ込んだまま、その片手を摘まみ、カメラへ向けて手を振らせてくる。

 その兄の姿に、ヴィヴィはといえば、ウサギの縫いぐるみに対し、焼きもちを焼いていた。


―――――

※黒ヴィヴィ様 昨シーズンのSP:
 バレエ「椿姫」より黒のパ・ドゥ・ドゥ
 音楽:フレデリック・ショパン “バラード第1番 ト短調”
 
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