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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章
9月27日(水)。
ジャパン・オープンを3日後に控えたこの日、双子は約1週間後に控えるNHK杯の、FSリハを行っていた。
今季のヴィヴィの演技構成は、下記の通り――
3A
3A+3Lo
3T
LSp(4)
FCSp(4)
――演技後半
2A+3Lo
3Lz
3F+2Lo+2Lo
3S
StSq(4)
ChSq(4)
FCCoSp(4)
――はい。
全部判った読者様、飴ちゃんあげる❤
……じゃなかった。
“スケオタ認定証” を授けてしんぜよう by作者
下らない冗談は、さて置き――。
シーズン初戦まで3日を切ったというのに、冒頭の3回転アクセルは、両脚着氷に。
3回転アクセルからのコンビネーションに至っては、2ndを2回転で降りてきてしまい。
そのショックで、肉体的精神的に一気に消耗したヴィヴィは、
最後、フライングからの足替えコンビネーションスピンで、失速する始末。
「………………」
はぁはぁと乱れた息を吐きながら、リンク中央で茫然と うな垂れている生徒を、
ショーン・ニックスは「おいでおいで」と手招きして呼んだ。
「さあて、ヴィヴィ。原因は何だろうね?」
お爺ちゃん先生の言葉に、孫ほど年の離れた生徒は、しょぼくれた様子で もそもそと呟く。
「単独の、は……踏み切るタイミング、遅れて……。コンボは、1stの着氷で失速、して……。2ndで3回転、回れなかった、です……」
ちょこちょこ水分補給をしながら答えるヴィヴィに、コーチは録画していたiPadを手渡してくる。
「そうだね。じゃあどうして、そうなってしまったんだろう?」
そう促され、動画に1度目を通しただけで、ヴィヴィはすぐに原因に気付いた。
「あ……、私、顎が上がり気味……?」
元コーチのジュリアンの “言い付け” を今も守り、毎日 己の演技を観ているヴィヴィには、その変化は一目瞭然だった。