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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章
「あははっ 強力な助っ人、いらっしゃいましたね。リンクサイドに!」
可笑しそうに振ってくる小島アナに、ヴィヴィは情けない顔で頷く。
「はい……。ジャパン・オープンだけ、急遽、その、マ……母、に付いて貰う事に、なりまして……」
「何で嫌そうなの?」と、高畑が。
「そうですよ、元コーチですよ?」と、小島アナが。
男2人に冷やかされたヴィヴィは、内心「トホホ」と零しながら弁解した。
「嫌って言うんじゃなくて……ちょっと、こっぱずかしいって言いますか……。まあ、でも確かに。母の元には毎日、映像として練習の成果が届いていて、ちゃんと「チェックしてるのよ!」って言ってたんで……、はは。今日貰ったアドバイスも、的を得た物が多かったです」
「あはは。新プログラムはもちろん、元恩師とのタッグも見ものですね。では最後に、明日への意気込みを、ファンの皆様へ向けて、それぞれ一言お願いします」
小島アナの締めの言葉に、高畑が続く。
「今日は調子良くて。ただ、ちょっと会場が暑いので、体力的に大丈夫かな? という心配がありますが。まあ明日は現役の足を引っ張らないよう、頑張ります」
「篠宮選手、お願いします」
「はい。明日は “次に繋がる演技” が出来ればと……。そして、自分が表現したい物を、皆様に少しでも、お見せ出来ればいいなと思います」
両手でマイクを握り締めながら、丁寧に自分の気持ちを口にしたヴィヴィ。
「日本チームの4名の活躍、楽しみにしています。ありがとうございました」
「「ありがとうございました」」
「以上、さいたまスーパーアリーナからお伝えしました」
小島アナの言葉に、東京テレビのスタジオが中継を引き継ぐ。