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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章
その傍ら “アフタヌーンティー” と銘打った “酒盛り” を始めた両親と匠海。
相変わらずの呑兵衛ぶりに、若干 呆れ気味のヴィヴィは、それでも久しぶりの家族団欒を味わい。
そして、隣でぐっすり熟睡する双子の兄の金髪を、いつもの調子で指で梳いていた。
クリスの髪は真っ直ぐで柔らかめで、ついつい撫でてその手触りを確かめたくなってしまう。
加えて兄自身も、妹に頭を撫でられるのが やぶさかでは無いらしい。
たまに「僕、お兄ちゃん、なんですけど……」と、若干不服そうに主張してくるが、
だからと言って、嫌そうにされた記憶は一度も無かった。
(可愛い……、クリスも、……匠斗、も……)
叔父の胸に身を寄せ、すやすや眠る甥っ子の黒髪。
細くて柔らかそうなそれに、思わず触手が伸びそうになるのを、ヴィヴィはひたすら堪えていた。
匠斗は可愛い。
まだ表情は乏しいけれど、愛嬌も出てきた、大事な甥っ子。
どうやら匠斗は、叔母の自分の事を気にしてくれているらしいが、
だからと言ってヴィヴィは、普通に “叔母と甥としての付き合い” をする事に、躊躇していた。
(私は、別に、いいんだけど……。匠斗、は……)
その躊躇いが、黒い幼児の髪を撫でる事を、是としてはくれなかった。
それから1時間ほど(すぐ傍にいる匠海を盗み見しながら)家族の酒盛りに、煎茶で付き合っていたヴィヴィ。
「私、楽器 触って来ようかな……」
そう断り文句を口にしながら、ソファーから腰を浮かそうとした。
その時、
「いたた……っ」
何故か頭皮に痛みを感じ、細い悲鳴を上げた。
髪を引っ張られた感覚に、そちらに視線をやれば、
昼寝から覚めたらしい甥が、何故か自分の金髪を掴んでいた。
「お、匠斗。でかした」
意味不明な褒め言葉を、息子に掛ける匠海に、
「あらまあ。匠斗はホント、ヴィヴィがお気に入りよねえ?」
「ははっ やっぱり男の子なんだなあ。可愛い女の子が大好きなんだねえ♡」
そんな能天気な両親。