この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章    

「………………」

(どこが「でかした」なんだろう……?)

 眉をハの字にし、甥を見下ろすも。

 焦茶色の瞳で、真っ直ぐに自分を見上げてくる幼児に、何故か腰が引けてしまう。

「た、匠斗……」

「び」

 再会して初めて、自分の名前(らしき発音)を呼んだ匠斗。

「えっと……。これは “おもちゃ” じゃないよ?」

「び」

「んっと……、あの、離して?」

 愛らしい手で掴み上げられている一房を指しながら懇願するも、何故か頑固に譲らない ちびっこ。

「あははっ こうなると、しばらく離さないぞ?」

 妹と息子の応酬に、可笑しそうに笑う匠海に、

「え~~……」

 ヴィヴィは情けない声を上げ、顔を顰めながらも色々と諦めた。

「……匠斗は、どうなの?」

「ん?」

 匠海の暖かな相槌に、ヴィヴィは問い直す。

「 “英才教育” 」

「ああ。ふ……っ もちろん、しているよ」

 形の良い唇を綻ばす男に、薄い胸がとくりと波打つ。

「産まれる前、から?」

 父・グレコリーのJAZZ好きが高じ、篠宮家の子供達は皆 “JAZZで育てられた” と言っても過言ではない。

 それは妊娠時の胎教から始まるのだから、その執念深さ(?)は只者では無かった。

「産まれた後、から。そうそう、匠斗は TAKE FIVE がお気に入りで。なあ~、匠斗?」

 愛息子に囁く匠海に、くるっと振り返った匠斗。

 その小さな手には、まだしっかりと金の髪が握られていた。

「1歳児、が……。しぶいねえ」

 自分達の幼少期を棚上げし、ヴィヴィは しみじみ甥を見下ろす。

「あれだよ。ヴィヴィの4年前のエキシビ。観せると喜ぶから、何度も見てるんだよな?」

「びっ」

 17歳の頃。

 プロスケーターの高畑大輔に振付けて貰った、男装JAZZナンバー。
 
 何故か甥は、それに酷くご執心らしい。

/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ