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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章
「クリス、ヴィヴィ。お前達、ロシア語はともかく、中国語とイタリア語まで習得したのか?」
ローストビーフをナイフでカットしながら、驚きの声を上げた匠海。
(ん……? 何で、お兄ちゃん、言語の違いが分かったんだろ……?)
確か上の兄は、英・日・仏・独 以外、操れなかった筈だが。
「中国語(とスペイン語)は、東大で取っていたし……。イタリア語は、カレッジのイタリア人、に学んでるんだ……」
クリスの返事に、グレコリーが指折り数え始める。
「ええと、英語・日本語・フランス語――……」
ちなみに、習得した順に並べると、下記の通りだったりする。
英→日→仏→独→露(ロシア)・中・西(スペイン) →伊
(「二次だからって、ハイスペックにし過ぎか!?」by 作者)
「8ヶ国語っ!? すごいのねえ~~」
義姉らしくない素っ頓狂な声で驚いた瞳子に、その場にいた皆が、可笑しそうに笑い声を上げたのだった。
「2人とも、シーズンインして多忙でしょうけれど。今度、オフシーズンに遊びに来てね?」
「ふぇっ!?」
ディナーも残すところ、デザートと小菓子のみ。
「あと。もうちょっとの辛抱」と、若干 気を緩めていたヴィヴィは、
義姉からのお誘いに、そんな変な声を上げてしまった。
「白金台の家。うふふ。私、妹がいたら、一緒にお菓子作りするのが夢だったの」
紅茶にミルクを注ぎながら、にっこり微笑みかけてきた瞳子に、ヴィヴィは硬直一歩手前だった。
「……――っ」
(ふっ 不倫相手の家に、のこのこ遊びに行くだなんて、どんな難行苦行ですか。ぐはぁ( :; ´^;ิ益;^ิ;.))
当たり前だが(愛人として)未経験の事ばかりで、二の句を告げられ無くなった妹に代わり、
助け船を出したのは、双子の兄だった。
「ヴィヴィは、超が付くほど “料理下手” なので……」
まあ、そのフォローの仕方は、容赦無かったが。
「……どうせぇ……」
執事にも同居人にも「キッチンに入るべからず」との “御触れ” を出された身としては、そんな悔し紛れの呟きしか吐けず。