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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章    

 クリスの “とどめ” に悔しそうに、唇を尖らせるヴィヴィ。

 そんな双子に、両親は「しょうがいないな~!」と爆笑していた。

「はは、家を爆発されても、可愛い弟と妹にだったら構わないよ。まあ、いつか気が向いたら “匠斗と遊び” に来てやって?」

 やんわりと双子と嫁の仲裁に入った長兄のお陰で、その場は次の話題へと移って行った。






「今日、瞳子さんも泊まっていくんでしょう?」

「ええ、匠海さんも匠斗も、こちらにお世話になるので。私も明日、こちらから仕事に向かおうかと」

 母と義姉の会話を、今度こそ聞き流していると。

「じゃあ、匠斗……。叔父ちゃんとお風呂、入ろうか……?」

 小菓子まで平らげたクリスが席を立ち。

 長いテーブルを回り込んで、甥っ子の傍へと寄って行く。

「え~っ!? クリスに先を越されるとは!」

 どうやらグレコリーも、孫とのバスタイムを、虎視眈々と狙っていたらしく。

「でも、クリス。1歳児のお風呂のお世話、したことあるの?」

 首を傾げるジュリアンに、クリスは金の頭を横に振った。

「無いけど。五十嵐に聞く……」

「じゃあ、お願いするわね。匠斗、良かったわねえ?」

 口周りと両手を おしぼりで拭われた匠斗は、瞳子の手からクリスへと預けられ。

「び」

 短い両腕を伸ばして、叔父に縋り付いた甥っ子の言葉に、

「……だから、僕はヴィヴィじゃないってば……」

 クリスは脱力しながら、突っ込むのだった。

 皆が爆笑する中、クリスがこちらを振り返る。

「ヴィヴィ、手伝ってくれる……?」

「え……? あ、うん」

 とうに食事を終えていたヴィヴィは、クリスの声に席を立ち。

「じゃあまた、明日の朝ね?」

「おやすみ、クリス、ヴィヴィ、匠斗」

 皆と就寝挨拶を交わした双子と匠斗は、ダイニングルームを辞去した。

 3階へと続く階段を、五十嵐と共に登り切り。

 クリスに続いて、兄の部屋に入ろうとしたヴィヴィだったが。

「じゃあね、おやすみ、ヴィヴィ……」

 振り返ったクリスが、腕の中の甥の手を摘まみ「バイバイ」と手を振って寄越した。

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