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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章    

 運び込まれたのは やはり、匠海の寝室で。

 黒いキングサイズのベッドに降ろされたヴィヴィは、若干の戸惑いを小さな顔に浮かべていた。
 
 けれど、その戸惑いの色は、

 何故か、目の前の兄の方が色濃くて――

「……俺……」

「え?」

 善悪の判断を訝しむ様な表情を、端正な顔に浮かべる匠海。

「……キスしても、良いんだよな?」

 難しそうな顔をして、いきなり何を確認してくるのか。

「……へ……?」

 身構えていたヴィヴィは、思わず間抜けな声を零していた。

「だって、俺は、ヴィクトリアの “恋人” だもんな?」

 薄紫のナイトウェアの両肩。

 包み込むように置かれていた大きな掌に、心の内を映し出すように、力が込められて。

「………………」

「違ったか?」

 微かに首を傾げ、答えを強請る兄に、

「……ちがう……」

 薄い唇から洩れたのは、否定の言葉。

 匠海は、いい。

 兄が妹の事をどう思っているかは、問題では無い。

 恋人だろうが、愛人だろうが、遊び相手だろうが。

 そんな事は、どうでもいい。

 ただ、

 ただ、自分は――

「ん?」

 「違う」と口にしたまま、押し黙った妹に、兄が柔らかな相槌で先を促す。

「違う、よ……。わたし、は……」

 目の前の切れ長の瞳を、真っ直ぐに見つめていたヴィヴィのそれが、

 現実から目を背ける様に、僅かに両端へと揺らぐも。

 その口調は、芯の通ったしっかりしたもの。

「私はお兄ちゃんの、あ―― ……んッ」

 自分に言い聞かせようとした “現実” を、熱い何かが押し留めてしまった。

 驚きに灰色の瞳を瞬かせるも、長い睫毛が色素の薄い肌を擽る様に、思い至る。

(……キス……されちゃった……)

 綻んでいた薄い唇に、ぬるりと侵入してくる、兄の熱いもの。

 驚きで奥に引っ込んでしまった舌を、ぺろりと舐め上げられ。

 その生々しさに また、

 まるで口付けも知らぬ生娘の様に、両肩が跳ね上がる。

 一瞬だけ、兄の唇が離れたかと思えば、薄い唇を味わうように舐められて。

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