この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章
「………………」
シャワーを止めた兄は、いとも簡単に妹の躰を横抱きしてしまう。
「俺が愛している女は、ヴィクトリア、ただ一人だ」
至近距離で、再度、そう愛を囁かれる。
「……――っ」
その言葉も、もちろん嘘だと、判っているのに。
解かっては、いるのに。
覗き込んで来る切れ長の瞳が、心の底から愛おしそうに、
自分を、
“ヴィヴィだけ” を、見つめていたから――。
そして、
そこに映り込んだ自分の顔が、
途轍もなく、嬉しそうな表情を浮かべていたから。
だから、
「ほら、ベッド行こうな?」
匠海のその誘いに、
「うん――」
ヴィヴィは至極 素直に、兄の首に縋り付いたのだ。