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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章
「ヴィヴィは特に、成人式に帰国しなかった “とんでもない親不孝者” なんだから、酒くらい付き合いなさいっての!」
そう言うや否やジュリアンは立ち上がり、グラスとシャンパンボトルを手に近付いてくる。
「そうだよ、ヴィヴィ~~。ダッドは、ヴィヴィとクリスと一緒に、成人をお祝いしたかったよ……」
父からもそんな恨み節が届いて来て。
しぶしぶソファーから腰を上げたヴィヴィは、母から差し出されたフルートグラスを受け取り、
なみなみと注がれたシャンパンの泡が零れ落ちそうになるのに、慌てて口付けた。
――で、何だかかんだと色んな事が重なって、頭の中がぐっちゃぐちゃだったので、
その勢いに任せ、細いグラスの中身をごくごく飲み干してしまった。
(う~~ん、良いノド越しだっ)
「あら、イケる口じゃな~いっ さすが、うちの子♡」
本当にこの人は、母親としての自覚があるのだろうか――?
嬉しそうに更に注ごうとしてくるジュリアンに、
「あ、ずるいぞ、ハニー! 今度は私が~~」
グレコリーが自分も娘に注ぎたいと、ごねてくる。
「はいはい。呑むからダッド、拗ねないで……」
そうは言いながらも匠斗が気になり、ちらりと振り返った視線の先、
いつの間にか席を立ったクリスが、よちよち伝い歩きする匠斗の後ろについて回っていた。
なんか、ちょっと可愛いかった。
185cmのクリスが無表情で、75cmのちびっこの後を……。
「……よぉし、呑んでやるっ」
皆が集うダイニングテーブルに向き直ったヴィヴィは、元々クリスが座っていた父の隣に腰掛け、腰を据えて飲む覚悟を決めた。
「ヴィヴィちゃん、無理はしちゃ駄目よ?」
斜め前に腰かけた瞳子が、苦笑を浮かべつつ忠告してくる。
そう言う瞳子も、酒が入っても顔色一つ変わらない酒豪らしく。
「はい。でもカレッジのディナーでも呑んでるし、カクテル・ナイトにも行ったことあるし。まあ、大丈夫ですよ」
にこりと瞳子に笑い掛けたヴィヴィ。
それは本当。
けれど毎回グラス1杯くらいしか、呑んでいなかったのも本当。