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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第8章    

「……っ おくっ ぉ……くっ だめぇ~~っ」

 目の前の黒髪を掻き抱いたヴィヴィは、心の中で自分の発言を訂正する。



(ああ、そうじゃないの。

 大丈夫よ。

 オンナは、もっと莫迦なんだから……)



「ん? ねえ、ヴィクトリア。最初は、どこ、出して欲しい――?」

 解り切ったことを意地悪く確認してくる兄に、妹は泣きそうな声で懇願する。

「ヴィ、ヴィヴィ、のっ おく……っ で! あ、ぁああんっ」

 薄い胸の中。

 肋骨に守られた心臓が、興奮を色濃く映し出していた。

 その鼓動の速さにも煽られながら、ヴィヴィは必死に目の前の匠海に縋り付く。

「ふ。奥、突かれながら、出されたいの?」

「……~~っ」

 未だ、Sぽい声で確認してくる兄に、若干(?)M気のあるらしい妹は、

 声にならぬ悲鳴を上げ、こくこくと必死に頷いて返す。

「はは、エッチなヴィクトリア。やっぱり俺じゃないと駄目だろう――?」

 やっと暖かな声でそう囁いてきた兄に、

 くしゃりと歪めた顔のまま、必死に兄を見つめ上げる。

「おに……っ おにぃ、ちゃぁあんっ! ゃ、すきぃっ あ……ぁああああっ!!」



 ぞくぞくした。



 心と躰。

 それ以上に、自分の全てが、

 目の前の男に惹かれて、夢中になり、

 悲鳴を上げ、戦慄いていた。



 己の生白い太ももを掴み上げる、大きな掌。

 そして、

 根本まで銜え込まされた亀頭の先、

 どくどくと注がれるものに、咽喉が鳴る。

 一緒に引き上げられた華奢な躰は、

 今や兄を搾り取る肉壺と化し、貪欲に精を受け止めていた。



(……いっぱい……。いっぱい、出されちゃってる……)



 自分から「欲しい」と強請ったのに。

 中に出されると、どうして「出されちゃった」と思ってしまうのだろう?


 それはきっと、

 愛している男に、自分の全てを征服された気がして――。


 そして、

 どんなに世界中から注目されようが、

 賞賛を受けようが、

 「お前は ただの女だ」と、

 その事実を、再認識させられた気がして――。


 きっとそんな風に、

 どこか “悦に入っている” のかも知れない。


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