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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第9章
「ヴィヴィ……?」
自分を呼ぶ声に振り向けば、
駐車場脇の金木犀を、ボーと見たまま立ち尽くしていたヴィヴィを、
クリスが若干呆れ顔で、見つめていて。
「あ、ごめんね。今、行く」
大量の荷物を抱え直し、スケートセンターの裏口へと急ぐ。
「ぼ~としてたら、怪我しちゃうよ……?」
大会5日前の妹に、注意を促す双子の兄。
「ん! 気合入れるっ 目指せノーミスっ!」
薄い胸の前、両の拳を握り締めて自分に言い聞かせるヴィヴィに、
「はいはい……」
クリスはそうあやしながら、金の頭を撫でたのだった。