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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第2章    

「ううん、ほとんど飲まないよ……。呑んでも、グラス1杯くらい……? ヴィヴィ、ほら、ベッドで寝よう……?」

 双子の兄が自分に向けて両腕を差し出してくる姿に、

「ん゛~~っ? あ、クリス、クリスだ、うふふ♡」

 臍を曲げていた筈のヴィヴィの気分が、瞬時に上がる。

 ――ここまで来るともう、完璧な酔っ払いだ。

「ヴィヴィ、えらく飲んだね……」

「クリス、おいで~。なでなでしてあげる♡」

 どうやらヴィヴィは酔うと、近くの人間の頭を撫でたくなるらしい。

 誤って缶チューハイを口にした時も、真行寺の頭をくしゃくしゃ撫で回していたらしいし。

「なでなで “したい” の、間違いでしょ……?」

 冷静に訂正してくるクリスに、

「……どっちでもいいのらっ」

 ヴィヴィはそう突っ込んで返すが。

(ん……? なんか、舌が回んない……? ま、いっか)

「はいはい。ベッド行こうね……?」

 呆れた様子のクリスに、

「やら。もっと飲むぅ」

 呂律の回らない口調で、ヴィヴィは反抗する。

(てか、呑まんとやっとれんわ~~いっ)

「我が儘、言わないの……」

 腰をかがめて妹と視線を合わせ、窘めてくる双子の兄。

「むぅ……。弟なんらから、お姉ちゃんの言うこと聞きなさいっ」

 握り締めた拳で、ボスボスクッションを叩きヴィヴィは抵抗した。

「兄だっての……」

「そうらっけ? ま、いいや……。ふわわ」

 また欠伸を漏らすヴィヴィに、

「ほら、眠いんでしょ……」

「ん~~、じゃ、寝るぅ~~」

 何か腹も満たされたようだし、もうどうでも良くなったヴィヴィは、やっと首を縦に振った。

「良い子、良い子……」

 ぽんぽんと妹の頭を撫でた兄は、細い両腕を掴んでソファーから立たせた。

「…………? 1人で戻れるよぉ?」

 ぐにゃりと首を倒すヴィヴィに、見下ろしてくるクリスの表情は心配そうなそれで。

「階段、転げ落ちそうで、怖い……」

「心配性だなぁ~~、ふわわ」

 お言葉に甘えて、クリスに部屋へ連れて帰って貰う事にした。

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