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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章
※たぶん、何のこっちゃ解らんのと思うので(書いてる本人も?なので)
流し読みして下さひ……
―――――
10月25日(水)――ミカエル・ターム(1学期)の第2週目。
掌の中にハンカチを握り締めたヴィヴィは、極度の緊張の中に立っていた。
「――よって私は、経済開発の実験場として中国経済を取り上げ、今までの経済発展モデルが中国に当てはまるのか、総合的・多角的に検証してみました」
週に1度のチュートリアル(個別指導)。
この1週間、寝る間も惜しんで準備してきた、エッセーとスライドを用い。
中国の経済発展の特色を他国と比べ、その特徴を浮き彫りとさせ。
「で、では……、今から3つの指標での検証結果を、お示しします」
若干どもりながらも、目の前のノートPCを弄り、Power Pointを操作する。
スライドに映されていたのは “ペティ=クラークの法則” による検証。
「産業構造は大きく分けて、労働人口と生産額で測られますが。中国は農業の比重は低下、しかし農業人口の減少は遅いという特徴があります。要するに殆んどの国に当てはまる “ペティ=クラークの法則” を中国に置き換えれば、生産額から見ると、おおよそ当てはまりますが、労働人口構造から見ると、このように歪んでいる結果になりました」
「ふむ~。ヴィヴィは、その理由をどう推察する?」
この国際経済論のチュートリアルを指揮する、ディナ・ビシャラ女博士の問いに、
じんわり滲む手汗をハンカチで誤魔化しながら、続けるヴィヴィ。
「幾つか理由は挙げられますが、影響が甚大なのは、毛沢東時代の農業重視政策と、農民を土地に縛り付けてきた戸籍制度の存在、にあると推測します」
次いで映し出されたのは “ルイスの二重構造モデル” による検証。
スライドの説明を行うヴィヴィに、
「昨今、沿海部の農民工(出稼ぎ労働者)の賃金は、増加しているわよね?」
首を傾げたディナが、そう追及してくる。