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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     

「ヴィヴィ、凄いよ。初めてだとは思えない受け答えだった」

 1時間のチュートリアルを終え。

 唯一の同席者のウィルは、そう健闘を讃えてくれたが。

 セント・エドモンド・ホールの廊下を歩くヴィヴィは、見るからにげっそりしていた。

「う゛ぅ……、ありがと。ウィルはもう、惚れ惚れしちゃった。主張も検証も的確で、一発OKだったもの」

「まあ、今回に限ってだよ。いつもはボロカス叩かれるしね」

 謙遜か、広い肩を竦めて見せる同級生に、細い眉をハの時にしたヴィヴィ。

「あ~~、手直ししなきゃ。んでもって、次のエッセーの下調べも……」

(今夜中に、手直し終わらせて。明日、朝一にライブラリー行って、必要文献漁って……。あ゛~~、間に合うかなぁ?)

「ああ、次は “中東の政治” だから、ディナ博士のモロ研究分野だしね」

 ウィルの忠告に「ふはぁ~~」と深い息を吐いたヴィヴィ。

「ていうか、もう18時だけど大丈夫?」

 腕時計を差し出し、そう指摘してくれたウィルに、はっと我に返り、

「あっ!? レッスン、遅刻しちゃうっ じゃあ、ウィル、明日はえ~~と?」

「10時からミクロ経済応用だね」

 自分より1歳下なのに、しっかりした同級生。

「分かった。じゃあ、お先~~!」

 両手がPCと書類で塞がったヴィヴィは、そう口で挨拶すると一目散に駆け出し。

「あ~~、転ぶなよ~~」

 そんなウィルの心配声も、一杯いっぱいのヴィヴィには届いていなかったのだった。







―――――

まじで、何のこっちゃい……
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