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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     

 それから毎日、篠宮邸に我が物顔で入り浸り。
 
 クライスト・チャーチ(王子の属するカレッジ)から暇を見付けては、わざわざ徒歩10分も離れたセント・エドモンド・ホールを覗きに来て。

 終いには、

「今日も、とびっきり、ダントツ可愛いね」

「俺と恋人同士になること、考えてくれた?」

「なんなら、ガールフレンドから始めようか?」

「はたまた、いっそのこと婚約でもしようか?」

 なんて。

 (兄弟以外の男に対し免疫がほぼ無い)ヴィヴィにとっては、突拍子も無い言葉で迫ってくるフィリップ。

「かわいくない……」

「てか、恋人なんて無理っ」

「ボーイフレンドなんか、いらない!」

「~~~っ!? なんでそこで「婚約」なんて単語が出てくるのぉ~~っ のぉ~~っ のぉ~~っ(こだま)」

 そんな、馬鹿騒ぎと大差無いやり取りを、ここ4日間、ず~~~~っと繰り返してきたのだ。

 だから、

「もうっ し~つ~こ~い~~っ!!」

 と、ヴィヴィが怒鳴ってしまっても、

 かの国では不敬罪で「打ち首御免」になんて、なったりしないよね?

 決して、

 日本とモニャコ公国の「国交断絶」になんて、なったりしないよね?

 ねえ、誰か!

 「そんな事にはならないよ」って言ってよぉ~~~っ!!



 ……ぜえぜえ。

 てな感じで。

 断っても窘めても納得してくれない、それこそゴ○ブリ並みのしつこさを誇る、皇太子。

 “美形大好き” なダリルとは、会った途端に意気投合し。

 寡黙なクリスとも いつの間にか、普通に会話を交わす間柄になっていて。

 ヴィヴィが疲労困憊で、チュートリアルから戻って来れば、

「一体お前は、何年前から ここに住んでる?」

 そう突っ込みたくなる程の寛ぎ具合で、

「おかえり♡ ヴィーの為に、ソファーを温めておいてあげたよ」 

 なんて、抜かす始末。
 
 
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