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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     

「ん~?」

「今、シーズン真っ只中なのっ 1分1秒も惜しいほど忙しいのっ! 貴方に構ってる暇なんて、無いのっ!!」

(こちとら、また3週間後にGPファイナル控えてんのよっ バカ~~っ!)

 滅多に怒らないヴィヴィが発した、切羽詰まった言葉に、

 投げ掛けられたフィリップの、その反応はと言えば。

「解かった」

 そんな、あまりにも簡潔な答えだった。

「ほ……、本当に?」

 驚くほどアッサリ引き下がった○キブリ王子――もとい、フィリップを見上げれば、

 そこにあったのは、至極真面目な表情を浮かべている男の顔。

(な、なんだ……。言ってみるもんだな……)

 そうか。

 相手だって心のある人間。

 ちゃんと言葉にして根気強く説明すれば、理解を得る事だって可能なのだ。

 心底ほっとしたヴィヴィ。

 フィリップが手にしていた茶器を「あ、ありがと……」と礼を言いつつ、恐るおそる受け取り。

 少し冷めてしまった、執事の淹れてくれた紅茶を口に含んだ。

 その途端。

「うん。だからこれからは、今までの “5回に4回” の割合で、ヴィーに会いに来るから」

「~~~っ!? “5回に1回” じゃないのっ!?」

 思わず王子に向かって、紅茶を吹きそうになったヴィヴィ。

 何とか飲み下し、目を白黒させて突っ込めば。

「え? “5回に1回” なら、会いに来て良いのか?」

 フィリップから返されたのは、そんな揚げ足取りな返答だった。

「~~~っっ!?」

(むぎぃ~~~っ o(`Д´ #)o )

 地団駄を踏めない代わりに、両の拳でボスボス ビーズクッションを殴るヴィヴィ。

「言質、取った~っ」

 そんなヴィヴィを尻目に、大人気無く大喜びする、実は2歳上のフィリップ。

 そして、

「……ヴィヴィ、あんたの、負けヨ」

 ダリルの呆れ声の突っ込みに、ぐったりしたヴィヴィは、ビーズクッションからずるずるとずり落ち。

 その場で生ける屍と化したのだった。





「ヴィー、俺のミューズ!」

「うぷ……っ」

「ヴィー、My HONEY♡」

「おえ~~っ」

「ヴィー、モナム~♡ ジュテーム♡」

「 |柱|ヽ(_ _ |||)うげぇぇぇっ」






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