この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     

 ミカエル・ターム(1学期)も、残り3週程となった頃。

 ヴィヴィは未だ、しつこいヤツとの戦いを強いられていた。

 そう、ヤツだ――。

(一国の王子とは言え、ヴィヴィ様は容赦など致しませんぞえ~~)

 題して、

【フィリップ☠ホイホイ大作戦】





【その① 相手に全く興味の無い事を解らせましょう☠】



「俺はね、ボルドーの会場のロイヤルボックス(貴賓席)で、君を初めて目にした時。すぐにピンと来たんだよ」

 “5回に1回” の取り決めなんぞ、どこ吹く風。

 オックスフォードの篠宮邸に入り浸るフィリップは、長過ぎる脚を組み換え、キメ顔で続ける。

「ヴィー。君こそが “俺の求める女性” だってね」 

「……あっそ」

 休日の朝練から戻って来たヴィヴィは、朝比奈が用意してくれた昼食をパクつきながら、生返事をする。

(浅漬けの柚子、うんまい)

「氷上のヴィーはまるで、女神の化身だった。颯爽と現れたかと思えば、わずか4分で見事、俺の心を打ち抜いてくれた……っ」

 まるで舞台俳優の如く、大げさな身振り手振りで語る超絶美形男子に、

 隣の席のダリルは「王子様ぁ♡」と、うっとりと見惚れていたが。

「……ふ~ん」

 ずずっと味噌汁を啜るヴィヴィの瞳はと言えば、執事特製・ブリの西京焼きに注がれていた。

(あ~~……。そろそろ、ブリ大根も食べたいな……)

「ヴィー、考えてもごらん? 遠く離れたフランスで出会った男女が、こんなに傍に住んでいたんだよ? これはもう “運命” としか、言いようがないじゃないか!」

「へ~へ~」

 王子のその理屈だと、フランス杯に一緒に出場していたクリスとも “運命” を感じる筈なのだが。

 男色家では無いのだろうか?

 そんな突っ込みすら面倒で、食べ終えたランチを前に、

「御馳走様でした。美味しかった~♡」

 今日一番の笑顔を見せたヴィヴィ。

「お粗末さまでした」と、微笑む執事。

「か、可愛い……」と、萌える王子。

 そして、

「眠い……」と、どうでも良さそうなクリス。

 そうして、今日も平和な一日が過ぎていく――




/1163ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ