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禁断の果実 ―Forbidden fruits― 第2部
第10章     



【その③ 相手を自惚れさせてはなりません☠】



「俺とヴィーには “共通点” があるんだよ」

「へ~~」

 平日のその日。

 わざわざ徒歩10分の距離を移動し、双子の属するカレッジまでやって来たフィリップ。



 ちなみに――

 クリス(21)は、

 前期、学部3年に編入し(英国の大学は3年制)、今期は修士課程。

 ダリル(21)は、今期は学部3年。

 ヴィヴィ(21)は、今期 学部2年に編入。

 よって双子なのに、

 兄 → 修士課程

 妹 → 学部2年(東大にいたら4年生だった)

 つまり2学年という、とんでもない差が付いていたりする。

 ついでに――

 フィリップ(23)は、博士課程2年。

(いや……。王子は、どうでもいいんだけど……)



「あれ? 興味が無さそうだ……。おかしいな? “共通点” というのは、互いを近付ける手っ取り早い方法なのに……」

 絶妙な曲線を描く顎に指を添え、首を傾げる王子に対し。

「で……?」

 とっとと図書館に行きたいヴィヴィは、歩きながら手短に先を促す。

 どうせ、どうでもいい共通点だろうと、高を括っていたのに、

「ああ。俺達の共通点は、なんと “互いにオリンピックに出ている事” 」

 フィリップから寄越されたのは、そんな予想外な共通点だった。

「……へ……? え? フィリップ、何かスポーツしてるの?」

 思わず立ち止まり、25cmの身長差を見上げながらも、小さな頭の中で呟いたのは、

(こんなに毎日 遊び呆けてる様に、見えるのに……)

 そんな酷い突っ込みだった。

 ようやく自分に興味を持って貰えた事に、にっこりしたフィリップ。

 さり気なく、肩に届きそうな金髪を掻き上げるさまは、確かに王子っぽかった。

「今は休日にしかしてないけれど、障害馬術をね」

 自信満々に発された答えに対し、問うた方の反応はといえば微妙だった。

「あ~~……」

(障害馬術……。何たること……。お兄ちゃんと同じ、だ……)


―――――
※ブリティッシュ馬術
障害飛越競技(柵ピョン)・馬場馬術(美しさを競う)・総合馬術(前述2つに加えクロスカントリー)etc……

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